AMBER 伊崎陽子さん

インタビュー企画「あきんど道商店街のヒト」は、近江八幡市の旧市街地(仲屋町(すあいちょう)・為心町(いしんちょう)・魚屋町(うわいちょう)・新町)に所在する「あきんど道商店街」と関わりのある「ヒト」にフォーカスを当ててインタビューをし、その方の魅力をご紹介する企画です。

今回の「あきんど道商店街のヒト」は、AMBERの伊崎陽子さんにインタビューさせていただきました。

ここ近江八幡で、北欧を中心にした生活雑貨店&カフェを営むで伊崎さんは、どんな商いをし、何を大切に思い、これからの時代の商店街をどう見ているのでしょうか。お話を伺ってきました。

親しみのある北欧雑貨 日常のなかで楽しんでもらえる機会をつくりたい

——まずはじめに、お店を始められた背景を教えてください

伊崎さん:私の父親が輸入業をしてて、ヨーロッパ等のボタンを取り扱っているのですが、7年ぐらい前に父の仕事の手伝いをしているなかで、”あ、そういえば私も自分で何かをしたかったな”と思ったんですね。 自分がしたいことは何かなと考えたときに、私は北欧雑貨が好きやなと。 地域の作家さんが集まるコミュニティみたいな場所を作ったり、ゆっくり北欧雑貨を見ながらお話ししながら楽しめる雑貨店があったらいいなと思ったんです。 滋賀のみなさんはおしゃれな物を買いに行くには京阪神に行かれるけど、地元でも贈り物として贈ることができるかわいいものが手に入ればいいなと思ったのがお店を始めるきっかけです。

——確かに、近江八幡にこういうかわいいものを取り扱っているお店ってあんまりないですもんね。

伊崎さん:そうそう。北欧雑貨に関しては、できれば日本にないものとか、近江八幡、滋賀県にないものを入荷したいなと思っています。県外のイベントに出店することもあるのですが、そのときは珍しいものを持って行って、出店してもらって良かったなって思えるような品ぞろえでいきたいなと思っています。 北欧雑貨はモチーフが自然のものや動物であることが多いんですけど、そういう北欧のデザインは日本家屋でも洋風な家屋でも合うことが多いので、色々な人にとって親しみやすい、馴染みやすいかなと思っています。 派手なデザインでもないので、どんな人にでも関係なく手に取ってもらえるかなって思うものをとり扱いたいなって思ってます。

——普段はどのような方がお店に来られますか?

伊崎さん:観光地やから年配の方も来られたり、ご家族連れの方も多いし、そういった意味では年齢層はいろいろです。カフェの利用で来られる方も多いですね。 80代くらいのおばちゃんがフラッと週に何回か来てくれて、今日焼き菓子はどうしようかなって言いながら、いつものコーヒーを頼んでくれたりして。 もちろん、手芸用品も色々扱っているので、ハンドメイドが好きて来てくれる方もいるし、ネットを見てこちらへ来てくださったお客さんもありますね。AMBERさんに会ったことないけど直接買えてよかったって言ってくれます。そういうこともあるので、ネットや県外に行ったときにお店のことや近江八幡のことを発信するのも大事やなって感じています。

コロナが落ち着いたときに 色々な場所から来てくれるように準備しておく

——店頭の販売だけでなく、minneなどのネットでも販売されているんですね。 伊崎さん:そうですね。うちではオリジナルレースもデザインして作っているんです。ネットでも販売していますが、今はこのレースを売りに県外にも回っているんです。うち卸はあんまりしてないので、ここでしか買えへんっていうことでわざわざ近江八幡に買いに来てくれるお客さんも増えています。 最初は北欧雑貨をメインのお店にしようと思っていたのですが、自分なりにだんだんやりたいことが分かってきたんです。 自分でオリジナルのものをつくってブランド化したい、ここでしか買えない、ここにしかないっていうものを作りたいなと思うようになりました。 レースも細部までこだわって選んで作っているので、それなりの値段もしてしまうのですが、それでも買いたいと思ってくれる人を増やしていきたいなと思っています。 そうすることで、コロナが落ち着いたときに、「あ、そういえばコロナのときに知ったあのお店にそろそろ行きたいな」と思ってくれるひとが近江八幡に来てくれたらいいなと思ってるんです。その時のために、今のうちに動くべきことかなって思って動いてます。 この1年はどのお店もコロナの影響で厳しい状況にありますが、うちの店ができることがまだあるかなと思っていて、自分ができる限りのことをしながら存続していかないとあかんかなと思っています。お客が来ない来ない言うてたって、待っててもこうへんから、こっちからつかみにいかないと、っていう考えですね。

——伊崎さんが仕事をする上での楽しさはどういうところにありますか? 伊崎さん:一番は、やっぱりお客さんが喜んでくれることが重要です。 あとは、私あんまりできないとは断らないんですよ。こんなんできますか?言われたら、あ、ちょっと探してみますと答えたり、どんな大変な出店でもとりあえず受けるんですよね。 大変だけど、それで得るものもいっぱいあるから、商品が売れてよかったなって全てにおいて思うし、お客さんも来てよかった、また来たいって思ってもらえるようにつなげたいから。 出店は新しいことに挑戦することもそうですが、そこで出会う出店者とお友達になったり仲良くなったりすることも楽しいですね。 県外で出店したときには、近江八幡のことも紹介しているんですけど、うちの店だけじゃなくてほかのお店も来てもらえていいかなと、楽しんでもらえたらなと思っています。

商店街を中心に 助け合えるコミュニティへ

——どうしてこのあきんど道商店街にお店を持とうと思ったのですか?

伊崎さん:町家を改装してお店をしたいなと思って探しててんけど、貸してもいいよっていうところが少なかったんですよね。いいとこがなくてうろうろしてたら、まちや倶楽部で工事してはって、「すんません、この辺になんかいい物件ないですか?」って聞いたら、うちどうや?言うてくれはって、それで、ここのお店は元々はスナックビルやったけど工事してもらって偶然ここを借りることができました。5年前に私がここでお店を始めたときは、周りにお店は本当に少なくて、ここにお店を出してよかったかなみたいな不安はあったんやけど(笑)、今からこの5年を振り返ると、ほんまに私たちはまちおこしのためにちょっとずつ努力してきたのかなっていう気はしますね。 今はこんだけ賑やかになって、あきんど道商店街に店出したいなと思ってる人もいっぱいいるんじゃないかな。今空いてる町家や空き店舗を利用してほしいなと思いますね。この奥の空き店舗でもできるようなネイルサロンとか、そういうのお店がどんどん増えてもっと仲間ができたらいいですね。

——今のあきんど道商店街のお客さんや店主さん同士はつながっていて暖かい雰囲気を感じます。

伊崎:そうやね。この裏の古民家さんのお客さんはこっち来てくれたりとか、逆にあそこでこんなん売ってるよって言ってあげることもあるし。観光客の人は食べるとこどこがある?どこがおいしい?とか聞かはるから、色々なお店を紹介したりとかしてます。

——伊崎さんは5年間ここでお店をされてきただけでなく、県外でも近江八幡を宣伝したり、自分のお店だけでなく、商店街を盛り上げようとしてくださっていることがよくわかりました。これから先の未来、商店街がこうなったらいいなと思うところがあったら教えてほしいなです。

伊崎さん:うーん、何かな。やっぱりみんなで何かやりたいよね、「RAKUICHI」のようなマルシェをやりたいですね。 この周辺のお店でもお互いがまだまだ知らないこともたくさんあるし、まだ深くお話ししたこともないようなお店もある。それぞれのお店が抱える悩み事も、ちょっと相談をしたり協力し合えるような関係になればいいなと思っています。 そういうような場をつくることで、「うち、こんなんこうしたいねんけどどう思う?」「こうしたらいいんちゃう?」っ会話が生まれてくるといいな。みんなで一緒にモチベーションを高くしていきたいよねって思いますね、諦めるんじゃなくて。

—————編集後記—————

とても柔かな笑顔で迎えてくださった伊崎さん。 カウンターに座らせていただき、インタビューのためにレコーダーやノートをカバンから取り出して机に置いて前をむくと、とても可愛い北欧のコーヒーカップを並べて、ゆっくりと丁寧にコーヒーを淹れてくださっている伊崎さんの姿が目に入ってきました。 コーヒーの良い香りを感じながら、店内に目を向けると可愛い北欧雑貨や素敵なレースが並んでいて、とても穏やかだけどワクワクもする、居心地の良い素敵なカフェスペースでした。 伊崎さんとお話しすると、なぜか元気が出てくるんです。お会いするのは2回目だったのですが、2回とも話し終わるとお話しする前より気持ちが元気になった感覚が!明るくてとても気さくで、その中に芯を持ってらっしゃる女性だからこそ、少しお話ししただけでもエンパワーされたのだと思います。 美味しいコーヒー、感性を刺激される美しいレースや北欧雑貨、 素敵な伊崎さんと空間に出会いたい方は、AMBERへぜひ。

INFORMATION
北欧雑貨&カフェ AMBER
〒523-0862 滋賀県近江八幡市仲屋町12
TEL:050-3553-0032
HP:http://amber-y.com/